【特定飛行の各論②】許可を受けても飛ばせない緊急用務空域

前回は特定飛行の個別のテーマの初回として、「空港等の周辺」を取り上げました。今回は個別のテーマ第二回の「緊急用務空域」についてです。

■そもそも緊急用務空域ってなに?

緊急用務空域とは、災害などで救助・捜索活動のための航空機の飛行が想定される空域のことです。他の空域と違うのは、常にあるわけではなく、災害が起こるたびに規模などを見て、その都度指定される空域です。

緊急用務空域ができた背景にあるのは、令和3年2月に栃木県足利市で発生した山林火災です。このとき消火活動中に何者かがドローンを飛ばし、その影響で消火活動が一時中断するという出来事がありました。これを受けて航空法施行規則が改正され、救助活動や消火活動を行うために航空機が飛行する空域を「緊急用務空域」として指定し、原則、無人航空機の飛行を禁止して活動に支障が出ないよう措置することになりました。

■地図を調べるのではなくその日に調べる!

この空域は前述のとおり、あらかじめ指定されているわけではありません。災害はいつ起こるか分からないため、昨日まで何の制限もなかった場所が、今日は飛行禁止になっているということが起こります。事前に申請し、許可・承認を受けた場合でも、当日に指定されてしまうということもありえます。そのため操縦者は自分の飛ばしたい空域が緊急用務空域に指定されているかどうかを無人航空機の飛行前に確認しなくてはいけません(航空法施行規則236条の71第4項)。緊急用務空域が発令されているかどうかは国土交通省のホームページやX(旧Twitter)に公示されます。

■許可をもらっていても飛ばせない!?

そしてこの空域で注意しなくてはいけないことがあります。それは、緊急用務空域では、たとえ飛行許可を受けても飛行させることはできないという点です。地表・水面から150m以上や人口集中地区上空の飛行許可を受けていても、緊急用務空域に指定されている場合、飛行させることができません。もし飛行中に緊急用務空域に指定された場合、その飛行を速やかに飛行を中止しなければなりません。さらにその規制対象は100g以上の機体だけでなく、100g未満の模型航空機を含めたすべての機体に適用されます。

■ただし例外もある

「緊急用務空域は許可を受けても飛ばせない」と述べましたがこれには例外があります。航空法第132条の92の「捜索・救助等のための特例」です。その名の通り災害の捜索・救助のためにドローンを飛ばすことに関しては、この緊急用務空域の規定を受けません。ただし、助けるためなら誰でも飛ばしていいわけではありません。この特例が適用されるのは、次のいずれかにあたる場合です。

  • 国または地方公共団体が飛行させる場合
  • 国または地方公共団体の依頼を受けて、捜索または救助を行う者が飛行させる場合

つまり、自治体から災害対応を委託されている民間の事業者も対象になりえるということです。

■終わりに

救助や消火の航空機は上空でドローンを一機でも確認すれば、活動を中断せざるを得ません。制度がここまで厳しくできているのは、実際にそれが起きたからです。誰かの助けを妨げることのないよう、飛ばす前に緊急用務空域の確認をお願いします。

われわれ行政書士法人Royal Sphereでは、飛行許可・承認申請の代行や法令・条例の確認などを行って、どの部分が規制に触れるのか、また、違反にならないようにどのような手続きが必要なのかをきちんと調べて、お客様に寄り添いながらサポートいたします。“信頼できるビジネスパートナー”として100回同じことを質問されても、100回笑顔で同じことをお答えさせていただきます。聞きにくいことこそお聞かせください。

次回は、飛行禁止空域のもうひとつ「人口集中地区(DID)の上空」を取り上げる予定です。

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