特定飛行の個別のテーマの3回目です。今回のテーマは「人口集中地区(DID)の上空」についてです。おそらくドローンを飛ばしたいとなったときに最も多くの人が関わることになるテーマだと思います。
■人口集中地区ってどこ?
人口集中地区とはその名の通り、人が多く住んでいる地域のことです。なんとなく人が多そうだな、この辺りは人口が多いなと決めているのではなく、国勢調査に基づいて決められています。英語のDensely Inhabited Districtの頭文字をとって、DIDと呼ばれます。具体的には、人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の区域が隣り合い、その隣り合った区域の合計人口が5,000人以上を有する地域を「人口集中地区」としています。参照:総務省統計局 人口集中地区に関するQ&A(回答) 航空法では「人又は家屋の密集している地域の上空」を飛行禁止空域と定めており、その中身を航空法施行規則が人口集中地区と定義しています。
この空域について航空法では「地上及び水上の人及び物件の安全」を守るべきものとして繰り返し規定しています(第132条の85第3項・第4項)。万が一機体が落下したときに、人に当たる可能性が高い場所だからです。前々回の空港等の周辺が「航空機を守るため」の規制だったのに対し、DIDは「地上にいる人を守るため」の規制だと考えると分かりやすいと思います。
東京23区はほぼ全域がDIDです。政令指定都市の市街地や、県庁所在地の中心部も同様です。
注意しなければならないのが、自分の私有地、自社の敷地内で飛行させるとしてもそこがDIDに指定されていれば許可が必要になる点です。「自宅の庭で少しだけ飛ばしたい」「自分の会社の屋上から飛ばしたい」という場合でも、DIDなら許可をとらなければなりません。
なお、100g未満の機体は航空法上の無人航空機にあたらないため、DIDの規制対象にはなりません。前回の緊急用務空域がすべての機体に適用されたのとは異なる点です。

■5年毎に区域が変わる
DIDは国勢調査の結果に基づいて設定されます。現在の人口密集地域は令和2年の国勢調査の結果をもとに適用されています。令和7年の結果が反映されれば、また人口密集地域の区域も変わると考えられます。そのため「前に調べた時は大丈夫だった」ということが発生することが考えられます。一度調べたらそのままではなく、飛行させたいときに都度、確認する必要があります。
■2026年7月、工業専用地域が対象から外れました
人口密集地域の規制に関して、令和8年に改正されてその規制が緩和され、令和8年7月1日から、都市計画法上の工業専用地域がDIDの規制対象から除外されました。工業専用地域では住宅を建てられないため、人や物件の安全を損なうおそれがないとされたためです。ただし、外れたのはDIDに関する規制だけであり、空港等周辺などその他の禁止空域での飛行や、夜間飛行などの飛行の方法については許可・承認が必要になります。

■終わりに
DIDは、四つの飛行禁止空域のなかでもっとも身近で、もっとも見落とされやすい空域です。市街地で飛ばす以上は必ずと言っていいほどかかってくる規制でありながら、境界は5年ごとに動き、今年からは工業専用地域という例外まで加わりました。ご自身の現場がどちらに当たるのか、飛ばす前に一度ご確認ください。
われわれ行政書士法人Royal Sphereでは、飛行許可・承認申請の代行や法令・条例の確認などを行って、どの部分が規制に触れるのか、また、違反にならないようにどのような手続きが必要なのかをきちんと調べて、お客様に寄り添いながらサポートいたします。“信頼できるビジネスパートナー”として100回同じことを質問されても、100回笑顔で同じことをお答えさせていただきます。聞きにくいことこそお聞かせください。
次回は、飛行禁止空域の最後のひとつ「地表または水面から150m以上の高さの空域」を取り上げる予定です。
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